実証から実装へ―下水道点検におけるドローン活用の実装プロセス

2026/4/21

公益財団法人埼玉県下水道公社 様

埼玉県下水道公社では、下水道点検の高度化に向けて新たな調査手法の情報収集や技術検証を進めています。その一環として、「ELIOS 3を活用した下水道点検」に着目し、実調査での活用を見据えた現場環境での実証を2025年10月に実施しました。

現場ではマンホールから機体を投入し、約100m先までの管内状況を鮮明に確認できたことや、解析時には取得データを位置情報とともに把握できることなど、ドローンの優位性を確認。同時に、運用上の限界値(できること・できないこと)を明確に定義しました。

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■ ELIOS 3に着目したきっかけ

近年、老朽化した下水道管路を起因とする事故リスクが全国的に課題となっています。特に、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、埼玉県下水道公社では、事故の未然防止に向けて管渠調査の高度化を重要テーマとして情報収集を進めていました。

その過程で、国土交通省が策定する「上下水道DX技術カタログ」の登録技術であり、他県での豊富な導入実績を持つELIOS 3に着目。2025年夏に大阪で開催された「下水道展」において、屋内空間でELIOS 3が実際に飛行している様子を目の当たりにし、その安定性に感心し現場での実運用の可能性が一気に高まりました。現地での技術解説を受け、今回の現場実証の実施に至りました。

■ 現場実証を通じた適用可能性の検証

現場実証は、埼玉県戸田市にある直径2,000mmの大型管渠で実施され、県内の下水道点検関係者約20名が参加しました。

1.長距離飛行の安定性

マンホールから投入された機体は、通信環境の厳しい管内を約100m先まで問題なく安定飛行。広範囲を効率的に点検できる能力を証明しました。 

2.圧倒的な映像品質

従来の調査機器では「光量不足により壁面が見えない」という課題がありましたが、ELIOS 3は管壁のひび割れや劣化状況を目視で明確に確認できるレベルの映像を記録。参加者からは「これなら実務でいけそうだ」と手応えを感じる声が上がりました。

現場でELIOS 3の運用を説明
ELIOS 3を下水道管内に投入

■ 解析検証により実務活用可能性を確認

現場検証後、ELIOS 3専用ソフトウェアである「Inspector」についてのデータ解析レクチャー会を実施。取得データを確認する中で、その真価が改めて評価されました。

最大の利点は、生成される3Dマップにより異常箇所を空間的に把握できることです。どこに、どのような異常があるのかが一目で判別できるため、今後の補修計画を策定する実務において非常に有用であることが明らかとなりました。

ELIOS 3が取得した3Dマップおよび撮影データ

■ そして実調査へ

道路陥没事故の未然防止という観点から、管路調査の高度化はもはや必須。この共通認識のもと、埼玉県下水道公社では検証結果を基にした検討が急ピッチで進められました。 

「今回のデモを通じて、流速が速く足を取られやすい箇所など従来は調査が困難だった条件下でも、ドローンが有効な手段となり得るという実感を得ることができました。一方で、推移が高く飛行空間を確保できない場合には適用が難しいなど、ドローンが”できること”と”できないこと”の解像度も高まりました。
今後は、こうした知見を踏まえ、ドローン調査が有効な現場条件や、適用が難しいケースの見極めが必要になってくると思います。」

公益財団法人 埼玉県下水道公社 担当者

本検証を経て、2026年3月現在、埼玉県下水道公社では、実際の調査業務においてELIOS 3本格的な活用を検討しています。

■今後の展望

市の担当者からは、次のような評価が寄せられています。
「高所での足場設置等の仮設作業を行うことなく、安全に目視点検できた点は大きな成果でした。
点検時間も短く、施設運営に影響を与えずに調査できたことで、安心して点検を実施できました。今後は、さらなる点検精度と安全性の向上にも期待しています。」

本事例は、ドーム屋根のように構造が複雑で従来手法では対応が難しい施設において、屋外・屋内ドローンを組み合わせることで実運用に適した点検手法を提示できることを示しています。

今後も、施設の構造や運営条件に合わせたドローン活用により、安全で効率的な維持管理への貢献が期待されます。

COMPANY PROFILE

埼玉県下水道公社

本社所在地 埼玉県さいたま市桜区田島7-2-23
設立年 1979年2月1日
従業員数 118人(2025年4月1日現在)
URL https://www.saitama-swg.or.jp/
事業内容 (1)流域下水道の維持管理運営業務
(2)流域下水道の維持管理運営業務と一体となって実施する改築業務
(3)水循環、資源循環及び施設再生に係る調査研究
(4)市町の実施する下水道における維持管理業務等の技術的支援
(5)下水道に関する知識の普及啓発
(6)その他の必要な事業

 

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屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」
ELIOS 3は、 Flyability社が開発した非GNSS環境下の屋内空間などの飛行特性に優れた屋内用ドローンELIOSシリーズの最新機種です。世界初の3Dマッピング用LiDARセンサーを搭載。点検・施設情報をリアルタイムで3Dデータ化し、位置特定が可能です。また、最新のSLAM技術により操作性・安定性も大幅に向上し、操縦者の負担軽減と飛行時間の短縮を実現しています。ブルーイノベーションは2018年に日本おける独占販売契約を Flyability社と締結し、ELIOS シリーズを活用した点検ソリューションの提供を開始しました。2024年現在、我が国ではプラントや発電所、下水道などを中心に300ヶ所を超える現場での導入実績があります。(https://blue-i.co.jp/inspection/ )。

 

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この事例に関するお問合せ・ご相談

ブルーイノベーション株式会社
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