【事例解説】ドローン点検で解決できる4つの課題
2023/5/17
ドローン点検は、建設・電力業界などの大型設備や施設の点検に使われています。安定して飛行できるドローンを使うことによって、従来は作業が難しかった箇所でも空中から点検できるようになり、作業の効率化とコストの削減を実現します。ドローン点検への投資を検討しているが、本当に自社の課題を解決してくれるのか不安に感じている方は多いでしょう。
そこで本記事では、ドローン点検ソリューション開発・導入で、大手プラントへの導入実績を持つブルーイノベーションが以下の内容を解説します。
● ドローン点検で解決できる4つの課題
● ドローン点検の活用事例
● ドローン点検におけるリスク対策
点検作業の安全性向上や時間短縮・コスト削減を実現したい方は、ぜひご一読ください。
− この記事の目次 −
ドローン点検とは
- 点検可能な場所
ドローン点検で解決できる4つの課題
- 危険作業による死亡事故・労働災害
- 目視検査による膨大な作業コスト
- 少子高齢化に伴う労働力不足
- 点検作業の属人化
【事例紹介】ドローン点検が活躍する場所
- 煙突内部
- タンク・ボイラー内部
- 配管・下水道
- 工場・建屋外壁
- 桟橋・橋梁
ドローン点検とは
ドローン点検とは言葉の通りで、人がドローンを操作して対象物を撮影しながら、もしくは撮影した画像や映像を使って設備を点検することです。
以下のようなデバイスを搭載することによって、人による検査の代替を実現しています。
● 高画質カメラ
● 赤外線カメラ
● LED照明
● LiDAR(3D測量)
● GPS
● 飛行安定化センサー
主に高所や暗所などの人が入りにくい場所や危険な場所に使われており、点検者の安全性を確保しながら低コストで効率良く点検できるというメリットがあります。
点検可能な場所(一覧)
ドローンによる点検が可能な場所やインフラ施設を3つのカテゴリに分けて紹介します。一覧は以下の通りです。
カテゴリ | 場所・対象施設 |
---|---|
屋内点検 | ● タンク・ボイラー内部 ● 屋内天井・高所 ● 配管・ダクト ● 狭小空間 ● 煙突内部 |
屋外点検 | ● タンク ● 施設外壁 ● 煙突 ● 屋根 ● ソーラーパネル |
水中点検 | ● 給水・排水管 ● 上下水道管 ● 桟橋 ● 船底 ● 浮体式生産設備 |
ドローン点検で解決できる4つの課題
ドローン点検はプラントなどのインフラ点検が抱える課題を解決してくれます。ここでは、代表的な4つの課題に対してドローンがどのように役立つのかを解説していきます。
①危険作業による死亡事故・労働災害
工場やプラントにおいて、人の目視確認が必要な点検には危険な作業が伴うこともあります。実際に高所作業中の落下、プラントの酸欠やガス中毒・蒸気によるやけどなどの事故が発生しています。
作業員の安全を守るには危険源から遠ざけるのが一番の対策です。ドローンを使えば危険源に近づく必要がなくなり、災害のリスクを大きく低減できます。
②目視検査による膨大な作業コスト
大型設備の点検を目視で行うには莫大な時間を要します。そのため膨大な作業コストが必要です。作業用の足場などを合わせると年間数千万円から数億円もの費用が発生します。
ドローン点検であればその場で異常箇所や欠損箇所を把握できるため、設備を止める時間が短くなります。日単位で止めていたのが時間単位まで短縮可能です。人の目が届かない高所にも空中を飛んで近づけるため、足場を組む必要もありません。点検業務へのドローンの活用により、大幅なコスト削減が実現します。
③少子高齢化に伴う労働力不足
少子高齢化によって、熟練作業員の退職と若手の担い手不足が加速しています。加えて、国内の石油・化学プラントの多くは稼動開始から30年以上経過し、設備の老朽化による点検需要が増加しています。つまり、労働力不足と点検需要の増加というダブルの要因が重なることで、必要な業務がこなせなくなりつつあるのです。
そこでドローンの活用が注目されています。それまでは足場を組んだり、大型のクレーンを使ったりして点検していた作業をドローン1台で対応できるので、点検業務が大幅に効率化します。また、撮影した画像や動画を解析できるソフトを組み合わせれば、判別の自動化も可能です。
このように、ドローン点検を導入することで今までよりも少ない人数で点検業務に対応していけます。
④点検作業の属人化
点検業務を複数人で行うと判定基準にばらつきが出ます。また、作業者の練度によって検査精度に差が出てしまいます。さらに、手書きのチェックリストでは結果だけが蓄積されるため、点検のノウハウはデータ化できません。
一方でドローン点検では、画像や映像と熟練者による合格/不合格の判別のデータが蓄積されていきます。これにより判定基準のすり合わせが可能です。大量のデータがあれば、画像分析やAIの技術でベテラン作業員の判別基準を再現できます。将来的には熟練作業員の暗黙知が言語化され、誰がやっても同じ点検結果になるでしょう。
【事例紹介】ドローン点検が活躍する場所
ドローン点検導入の効果を具体的にイメージしてもらうため、ブルーイノベーションにおける事例の一部を紹介します。ぜひ参考にしてください。
煙突内部
高さ150m、内径4mの煙突内部の点検にドローンを活用した事例を紹介します。
直径40cmのドローンを点検口から投入し、機体から送信される映像(FHD画質)を確認しながら飛行させました。ゴンドラを設置したり、足場を組んだりせずに点検可能な上、危険な高所に人が立つ必要もありません。たったの2時間程度で内壁全体のスクリーニング撮影が完了します。
タンク・ボイラー内部
巨大なタンクやボイラー内の点検には、最大10,000ルーメンの照明を搭載したドローンを使用しています。真っ暗で粉塵が舞うような環境下でも鮮明な映像を撮影できます。カメラの向きを上下に変えられるので、屋根の梁も撮影可能です。
タンクやボイラー内は危険エリアなので人が入るには大きなリスクが伴いますが、ドローンを使うことで安全な場所からの撮影を実現しています。
配管・下水道
地下の配管や下水道もドローンでの点検が可能です。管壁に接触しても問題ない球体ガードを採用しているので、径の細いマンホール内を通る際も安心して作業できます。従来のドローンが飛行できない非GPS環境下でも、センサーで自動制御しながら飛行できます。
有毒ガスによる作業員のリスクを回避できるだけでなく、点検時間を2日から4時間に低減する効果も得られました。
工場・建屋外壁
広大な敷地にある工場や建屋の外壁を点検する際にもドローンが活躍します。光学ズームカメラや赤外線カメラなど、搭載する機器の変更によりさまざまな点検に対応できます。
さらに、上空から全体を俯瞰撮影するのにも最適です。LiDARによるスキャンデータとソフトウェアを使って3Dモデルを作成し、地上からの調査では不可能な方向から外壁の状態をチェックできます。
桟橋・橋梁
桟橋や橋梁の点検には水中ドローンが活躍します。4Kカメラを備えた「FIFISH V6s」があればダイバーによる潜水作業は不要です。そのため、スケジュール調整の手間がなくなり、天候に合わせて任意のタイミングで点検できます。
任意の方向に姿勢を制御できるので、水面側から見た橋の下部や水面付近も撮影可能です。有線のため、通信が途絶えたとしても回収できます。
ドローン点検におけるリスク対策
点検業務での課題の解決が期待される一方で、ドローンを点検に使用すること自体へのリスク対策も求められています。
例えば、防爆エリアへのドローンの落下や落下衝撃による設備の損傷があげられます。災害が起きると大規模な事故になる石油コンビナート等の点検には、ガイドラインが制定されています。
参照元:総務省消防庁、厚生労働省、経済産業省「自主保安資料」
また、ドローンなどの無人飛行機を飛ばす際には関連法令の遵守も求められます。国土交通省の「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」を活用し、安全な点検を実施しなくてはいけません。
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