鉱山の動脈「立坑」、深さ100mの内部を可視化
ELIOS 3が解き明かした立坑内部の真実とは

2026/4/2

株式会社戸髙鉱業社 様

鉱山業において立坑(たてこう、shaft)は、地上にて採掘した鉱石を地下のプラント設備へ供給するための中核的なインフラ設備です。一方で、その構造上、人が内部に立ち入って直接確認することが難しく、これまで多くの鉱山では、排出状況や操業データに基づいた「運用状況からその状態を推測する」管理が一般的でした。

今回、株式会社戸髙鉱業社において、別系統の貯鉱槽と隣接する立坑で「異なる鉱石が混在して排出される」という予期せぬトラブルが発生しました。立坑内部で何が起きているのか――
原因究明と運用正常化のミッションを背負い投入された「ELIOS 3」が捉えた、驚きの内部状況と、その成果に迫ります。

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■鉱山操業を支える立坑の役割

現代社会のあらゆる製品やインフラは、鉱物資源なくして成立しません。セメントや建築資材の原料となる石灰石、ガラスや電子部品に欠かせない珪石、土壌改良や製鋼に利用されるドロマイトなど、鉱山は私たちの社会基盤を陰で支える重要な存在です。

採掘された鉱物は、立坑を通り、小割室、破砕設備などを経て、ベルトコンベアで運搬されます。このプロセスにより効率的な生産が実現しています。

※引用:株式会社戸髙鉱業社Youtube動画「株式会社戸髙鉱業社紹介動画」https://youtu.be/XTqj-yQvfa0

一方で、立坑は長期使用に伴い経年劣化や崩落の影響を受けます。
内径の拡張や内部容積の変化は避けられず、内部状態の把握は操業計画の精度と安全性を左右する重要課題でした。

■ 発生した“鉱石混在”トラブル

立坑内部の様子 (小割室から上部を目視)

そんな中、同社は重大な課題に直面します。横に並んで運用していた異なる系統の貯鉱槽から、本来混ざるはずのない「異なる種類の鉱石」が混在して排出されるという現象が発生したのです。

これは単純に鉱石の仕分け負担の増加にとどまりません。内部で立坑と貯鉱槽が貫通し、空間の容積が大きく変化している可能性を示唆していました。

立坑内部の容積が不明なままでは、「入口(切羽)からどの程度の鉱石を投入してよいか」、「出口(小割室)でどの程度まで処理する必要があるのか」という適切量が測れなくなり、健全な生産計画に支障が生じる事態でした。

■ ELIOS 3による100m内部調査で判明した事実

そこで投入されたのが、屋内点検用ドローン「ELIOS 3」です。その結果、これまで推測するしかなかった内部状況が、明確な事実として可視化されました。

①高解像度映像による原因の特定

暗闇の立坑内を強力な高輝度LEDライトが照らし出し、高解像度カメラが内部を鮮明に捉えました。映像には、隣接する貯鉱槽と立坑が内部でつながってしまっている様子がはっきりと映し出されていました。これにより、異なる種類の鉱石が混在して排出されていた原因が、立坑内部構造に起因するものであることが明確になりました。

②LiDARによる3Dモデリングで「容積」を数値化

さらに決定的な成果をもたらしたのが、ELIOS 3に搭載されたLiDAR(レーザースキャナー)です。飛行しながら立坑内部の3Dモデリングを実施することで、経年劣化や崩落によっていびつに変化した内部空間を、正確な「形状」と「容積の数値データ」として把握することに成功しました。これは従来の目視点検では決して得られなかった画期的な成果です。

これらのデータをもとに、上流側でどの程度まで鉱石を投入してよいか、また下流側でどれだけの空間を確保すべきかといった運用計画を、根拠を持って再構築することが可能になりました。結果として、トラブルの解決だけでなく、安定した鉱石供給と安全な操業の両立に向けた、大きな一歩となりました。

3Dモデル化された立坑内の様子

■ 緊急対応から、業務高度化のスタンダードへ

今回のELIOS 3の活用は、突発的なトラブルへの緊急対応として実施されたものですが、実際に運用を通じて得られた成果は想定をはるかに超えるものでした。

戸髙鉱業社では今後、立坑の点検に留まらず、人が立ち入ることが困難な屋内空間や地下構造物などの体積・形状把握にも、ELIOS 3の活用を広げ、点検・計測・記録といった業務の高度化・効率化を進めていきたいとしています。

COMPANY PROFILE

株式会社戸髙鉱業社

本社所在地 大分県津久見市合ノ元町5番18号
設立年 1957年6月1日
従業員数 378人(2025年4月1日現在)
URL https://www.todaka.co.jp/
事業内容 石灰石・珪石・ドロマイト等採掘加工販売
生石灰・消石灰製造販売 他

 

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屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」
ELIOS 3は、 Flyability社が開発した非GNSS環境下の屋内空間などの飛行特性に優れた屋内用ドローンELIOSシリーズの最新機種です。世界初の3Dマッピング用LiDARセンサーを搭載。点検・施設情報をリアルタイムで3Dデータ化し、位置特定が可能です。また、最新のSLAM技術により操作性・安定性も大幅に向上し、操縦者の負担軽減と飛行時間の短縮を実現しています。ブルーイノベーションは2018年に日本おける独占販売契約を Flyability社と締結し、ELIOS シリーズを活用した点検ソリューションの提供を開始しました。2025年現在、我が国ではプラントや発電所、下水道などを中心に400ヶ所を超える現場での導入実績があります。(https://blue-i.co.jp/inspection/ )。

 

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この事例に関するお問合せ・ご相談

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