電力会社などのボイラ発電設備の点検にドローンを導入 稼働率向上で安定供給と環境負荷低減の両立へ

2021/7/16

株式会社IHI 様

電力会社が持つ火力発電の維持管理を請け負っている重工大手のIHIは、ボイラ内部点検に ELIOSを導入し成果を上げています。特に点検業務の効率化による設備停止期間短縮と、損傷箇所の発見から修繕・再稼働までの迅速化による設備稼働率向上、発電機会損失低減は、電力の安定供給と環境負荷低減の両面から高い評価を得ています。

電力の安定供給のために、いかに点検期間を短縮するか

火力発電所向けボイラの世界大手メーカーであるIHIは、世界中の発電施設に向けてボイラ建設から設備の維持管理、IoTによる運転支援までワンストップで提供しています。環境負荷の低減とエネルギーの安定供給の両立に向け、メンテナンス改善による設備稼働率の向上に取り組んでいます。
火力発電におけるボイラ点検は多くの場合、定期点検や緊急点検を問わず、ボイラ内部に人が立ち入って行われます。そのために約3日間かけてボイラ内部の温度を下げ、さらに1週間かけてボイラ内壁に沿った高さ60ｍにもおよぶ足場を設置します。その後、ようやく点検員が足場を利用し点検が開始されるため、点検業務には多くのコストと時間がかかっていました。
点検のために発電設備を停止させている間、必要な電力供給を他の発電設備で賄わなければならず、そのために莫大なコスト、労力、調整を費やさねばなりません。このような間接的な労働やコストを抑えるために、ボイラ内の損傷部位をいかに短時間で発見し、施設そのものをスピーディーに再稼働させるか。点検に伴う運転停止期間の短縮と補修箇所の早期発見のために選択されたのが「ドローン点検」でした。

ELIOSの採用を決定づけた要因

「“ドローン“を巷で耳にし始めた頃、もしかしたらドローンを使って高所の点検ができるのではないか？と思いつき導入検討が始まりました。当時はボイラ内でドローンを飛ばすということは前代未聞で実績はもちろんありません。さらにお客様の設備であるボイラ内で飛ばす以上、人の目視点検に引けをとらない画像性能と飛行の安定性・安全性を、ボイラを保有するお客様にご理解いただく必要がありました。

鉄の壁に囲まれたボイラ内部ではGPSを使った安定飛行はできません。私たちがドローンに求めたのは、非GPS環境下で安定して飛行できるドローンであること、また、ボイラ内の損傷箇所を人の目視点検と同じように確認できる機能や性能があること、そして何よりも、衝突や落下などによる事故が起きない事です。
これらの条件をクリアしたのがELIOSです。非GPS環境下での安定飛行はもちろんのこと、目視点検と同じような感覚で損傷個所が認知できること、また、周囲に接触しても球状のフレームで機体が守られており、墜落リスクが少ないという安全性を高く評価しました。さらに、ブルーイノベーションのパイロットが持つ高い技術も、ELIOSの採用を決定した要因です。」
（株式会社IHI　主機・サービス設計　岸　輝卓 氏）

カーボンニュートラル社会の実現に向けて

IHIはボイラ点検にELIOSを活用することで、損傷個所をいち早く発見し、設備復旧にかかる日数を短縮。お客様である発電会社の機会損失の低減を実現しました。さらに、ELIOSで撮影した映像は、高所に登らずに設備の外からでもリアルタイムに確認できるため、ボイラを知り尽くしたIHIのボイラ設計者が点検作業に参加することで、的確かつ効率的で安全な設備点検が可能です。

「発電設備の停止期間を1日短くするだけでもお客様に大変喜ばれます。ドローンを使った点検は効率面・安全面において高く評価されています。今後も、お客さま価値の最大化のため、ドローンなど新技術を取り入れたライフサイクル全体の包括的なサービス提供、発電所の安定運転・高稼働率での運転に寄与することで、カーボンニュートラル社会の実現に向けて貢献していきます。」（岸 氏）

COMPANY PROFILE

株式会社IHI

この事例で使用した製品・ソリューション

工場・プラント施設点検用 球体ドローン「ELIOS 2」

https://www.blue-i.co.jp/elios2/

自社でもできる！工場・プラント施設 点検用ドローン サブスクサービス
ホワイトペーパー ダウンロード

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