世界初、物流用ドローンポートの設備要件を国際標準規格化
2023/6/26
日本発、ブルーイノベーションがプロジェクトリーダーとして推進
ブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:熊田 貴之、以下 ブルーイノベーション)が2020年4月より進めてきた、ドローンポート※1およびドローンポート情報管理システム(Vertiport Information System、以下VIS)※2を含めた物流用ドローンポートシステム※3の設備要件の規格が、2023年6月2日に国際標準化機構ISOより「ISO5491 Vertiports — Infrastructure and equipment for vertical take-off and landing (VTOL) of electrically powered cargo unmanned aircraft systems (UAS)」(物流用ドローンポートの設備要件に関する国際標準規格ISO5491)(以下、本国際規格)※4※6として正式に発行されました。
※1)ドローンポート:ドローンの離発着場でありドローンの格納や充電などの付帯機能などを備えたハードウェアのこと
※2)ドローンポート情報管理システム:ドローンポート、気象センサーや侵入検知センサーなどの周辺機器、およびそれらの情報を統合管理するシステムソフトウェア
※3)ドローンポートシステム:ドローンポートおよび各種センサーなどのハードとドローンポート情報管理システムを内包したシステム
本規格は、経済産業省の委託事業(省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費省エネルギー等国際標準開発(国際標準分野(新規対応分野)))において取り組んできたもので、日本発の提案※5に基づき関係各国・地域や企業との協議・調整等を経て、150 kg以下のドローンを扱うドローンポートが自動離着陸オペレーションを実現するために必要なインフラストラクチャと機器の要件について、世界で初めて※7国際規格として採用され発行に至ったものです。
これにより、世界各国・地域で個別に進められていたドローン物流におけるドローンポートシステムの開発や運用実証、事業化検討などが本国際規格に基づいて行われるようになり、グローバルでの情報共有や技術開発、社会実装に向けた取り組みの加速が期待できます。
本国際規格化の背景
国内労働人口が年々減少し、宅配便取扱個数が右肩上がりで増加する中、2022年12月5日の改正航空法施行にともなう「無人航空機の有人地帯での目視外飛行(レベル4)」の解禁を受け、物資輸送におけるドローン利活用への期待が高まっています。
また、自然災害が頻発化・激甚化する中、被災地における広範囲での情報把握や初動対応の迅速化、施設の被害状況の迅速かつ正確な情報の把握、さらに救援活動のリスク軽減や二次災害の防止等においても、いかにドローンを利活用するかが喫緊の課題となっています。
これらのドローン利活用では、ドローンの離発着から上空飛行、荷物の積み卸しや撮影・捜索などの付随業務まで一連のオペレーションを自動、目視外で行うことが求められており、中でもドローンポートシステムはドローンの格納および離発着時の安全確保や雨風・気温などの周辺状況の把握、ドローンへの充電、荷物の受け渡しなどを行うと共に、それらの情報をリアルタイムに各連携システム・デバイスと共有し、運航管理者や利用者をはじめとした各種ステークホルダーに提供する重要な役割を担います。
そのシステム構築や機能実装などが個別最適で進んだ場合、特定のサービスや業務、指定されたメーカーのドローンや周辺機器でしか運用ができなくなる恐れがあります。この度の本国際規格の発行により、ドローンポートやドローン、周辺機器などの各メーカーによる研究開発や機能実装などが本国際規格に基づいて進められるようになり、メーカーや機種を問わないシステムの拡張性と、サービス内容に合わせた柔軟かつ幅広いドローン運用の現実が期待できます。
本国際規格における、ブルーイノベーションの役割
ブルーイノベーションはドローンポートシステムの必要性・重要性にいち早く着目し、国土交通省とともに2017年より研究開発に取り組んできました。さらに、ISO/TC20/SC17 WG1のコンビーナおよびISO5491のプロジェクトリーダーを務め、経済産業省や国内外のエキスパートとともに進めてきた国際標準化への取り組みが結実し、この度の本国際規格の採択、発行となりました。
本国際規格の内容
本国際規格において、ドローンポートシステムはドローンポート、気象センサーや侵入検知センサーなどの周辺機器、それらの情報を統合管理するドローンポート情報管理システム(VIS)を包含するものと定義されており、ドローンの格納および離発着場として離発着時の安全確保や雨風・気温などの周辺状況の把握、ドローンへの充電、荷物の受け渡しなどを行うと共に、それらの情報をリアルタイムに各連携システム・デバイスと共有し、運航管理者や利用者をはじめとした各種ステークホルダーに提供する重要な役割を担います。
今後について
今後、世界各国・地域のドローンポートに関わるステークホルダーは、本国際規格に基づいてドローンポートやドローンポートシステムの開発を進めることになります。
ブルーイノベーションは、本国際規格の要件に準拠したドローンポート情報管理システム「BEPポート|VIS」のβ版提供をUTMプロバイダー、ドローンポートおよびドローン機体メーカー向けに開始し、ドローン利活用による社会課題の解決を支援すると共に、安心安全な空のインフラ構築に貢献していきます。
【用語説明】
※4)物流用ドローンポートシステムの設備要件に関する国際標準規格ISO5491
2023年6月2日に正式発行。150kg以下のVTOL電動貨物UAS(垂直離着陸式の貨物用無人航空機システム)を扱うVertiport(ドローンポート)が自動離着陸オペレーションを実現するために必要なインフラストラクチャと機器の要件を規定している。正式名称は「Vertiports — Infrastructure and equipment for vertical take-off and landing (VTOL) of electrically powered cargo unmanned aircraft systems (UAS)」。
【ご参考リンク】
・国際規格ISO5491のダウンロードページ(ISOサイト内)
https://www.iso.org/standard/81313.html
・ISO5491に準拠したドローンポート情報管理システムの提供について(弊社発表資料)
https://www.blue-i.co.jp/news/release/20230626_2.html
※5)日本発の提案
2019年のISO/TC20/SC16南京総会において、ブルーイノベーションを含む日本が提案し採択され活動を開始。
※6)150 kg以下のドローンを扱うドローンポート(VTOL電動貨物UASを扱うVertiport)
日本では一般的に「ドローンポート」と表現されているが、国際規格では「VTOL電動貨物UASを扱うVertiport(クラスA)」と表現されており、ドローンやヘリコプター、空飛ぶクルマをはじめとした垂直離着陸機(VTOL:Vertical Takeoff and Landing)の中で、電動の物流用無人航空機システム向け離着陸場のこと。なお、VertiportはISO 5015‐2において以下に分類されている。
※7)世界で初めて
150 kg以下のドローンを扱う物流用ドローンポートシステムの設備要件がISOにおいて国際標準規格化されたのは世界初。
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