ELIOS 3の3Dマップが、鉱石シュートの詰まりの原因を10分で特定

2025/10/17

ある大規模な鉱山において、ELIOS 3を使用した調査により鉱石シュート(オアパス)の詰まりの原因をわずか10分で特定することに成功しました。さらに、その位置もELIOS3で作成した3Dマップで正確に特定することができました。

メリットの概要

アクセス

ELIOS 3は鉱石シュートにまっすぐ向かい、リアルタイム映像と3Dマップ の両方を表示し、詰まりの状況を正確に把握。その原因を特定するための重要な情報を提供しました。

迅速性

鉱石シュートの詰まりの原因を特定するのに、従来2ヵ月かかっていたものが、わずか10分に短縮されました。

正確な位置データ

ELIOS 3の3Dライブマップと位置情報データにより、作業員は、鉱石が滞留している場所を正確に把握し、合わせて坑道内での位置を確認することができました。これにより、その位置を特定するために従来数週間にわたって行っていた試掘作業を行う必要がなくなり、労力を削減することができました。

鉱山の現場において、採掘層で働く作業員はマッカー(廃石を運搬する機械のこと)を使用し、採掘地点から鉱石シュート(鉱石が落下する垂直の昇降路)まで鉱石を搬送します。

鉱石はこれらのシュートを落下し、1本の昇降路に合流します。その昇降路から鉱石はさらに搬送レベルまで落下し、そこで大型の運搬トラックがトラックシュートを使用して鉱石の一部を積み込み、処理のため破砕機まで運搬されます。

この一連の作業は「鉱石流動システム」と呼ばれ、鉱山の上部で採掘された鉱石を、下部で破砕される場所まで輸送する役割があります。

採掘作業が正常に機能するためには、鉱石昇降路が常に開通しており、詰まりがないことが不可欠です。

もし、詰まりが発生した場合は、ただちに詰まりの位置を特定し、迅速に除去する必要があります。

本事例で取り上げられている調査のためにドローンで撮影した詰まりの写真

鉱石シュートの閉塞の調査

コロラド州の大規模鉱山で鉱石シュートに大きな閉塞が発生し、鉱石がまったく落下しなくなる事態が発生しました。

このような詰まりは、通常、トラックシュート(鉱石が昇降路から排出され、トラックで運搬用に収集される場所)の近くで発見されることが多いです。

しかし、昇降路を上部から確認した鉱山作業員は、トラックシュート内に異常を確認できず、詰まりは視界外の上部昇降路にあると推測されました。

詰まりの位置を特定するため、作業員はシュートの小さな穴からCMSスキャナーを昇降路内に挿入しました。

スキャナーのデータから昇降路の低密度点群が得られ、詰まりの大まかな位置が昇降路の上部約27.5メートルにあることが確認されました。この情報をもとに、彼らは、より高い位置から鉱石シュートに 12~21 メートルの長さの探査穴を掘り、その穴に下水道用カメラ(指ほどの大きさの小型カメラ)を挿入して、詰まりの正確な位置と性質を見つけようと試みました。

シュートの穴からのCMSスキャン

そして、障害物と思われる塊をようやく発見すると、その除去作業が開始されました。

障害物の除去作業も、その発見作業と同様に試行錯誤の連続でした。作業員は、障害物があると思われる場所に長い穴を掘り、CMSスキャナーと下水道カメラで位置を確認した後、ANFO(アンホ爆薬)を詰めた パイプ爆弾を穴から挿入し、塊を爆破しました。

大きな爆発は、昇降路自体の構造に損傷を与える可能性があるため、全体を爆破するのではなく非常に小さな爆薬を使用して塊を揺さぶり外すことが重要でした。

しかし、詰まりがあると推測される場所に繰り返し穴を掘り、小さな爆薬を投入するとトラックシュートから小さな破片が落ちるものの、昇降路の詰まりの解消に至らず、2ヵ月間にわたりその状態が続いたのです。

2ヵ月後、詰まりのある昇降路のある鉱山部分は採掘自体が終了し、経営陣は採掘の中止を決定しました。これにより、鉱石シュートシステムは不要となり、詰まりの位置や様子もまったくわからないまま、そのエリアは放置されことになりました。

ドローンによる鉱石シュートの遠隔点検

しばらく後、Flyabilityのパイロットたちが鉱山を訪れELIOS 3の性能を実演したところ、鉱石シュートを飛行し、鉱石の詰まりを点検できないかとの依頼がありました。

ELIOS 3は、パイロットのタブレットにライブ映像と3Dライブモデルの両方が表示されるため、パイロットはドローンが撮影している映像と、その周囲の状況を3Dモデルで同時に確認することができます。

この2つの機能により、鉱山関係者は、ELIOS 3が詰まりの場所と原因を把握するのに最適なソリューションであると考えました。

ELIOS 3による鉱石シュートの点検の効果

ELIOS 3を飛行させ、3Dライブマップに位置情報が表示し、昇降路内の詰まりの位置が正確に特定されるまで、10分とかからなかったのです。

ELIOS 3 の LiDAR が取得した点群データから作成した昇降路内の詰まりの3Dモデル

ELIOS 3を使用することで、鉱山の作業員は、障害の原因が1つの巨大な岩がそのままの状態で残っていたことであることがわかりました。障害の原因は1つの巨大な岩ではなく、複数の大きな岩が絡み合っているものと、それまで考えられていたのです。

この情報は、昇降路の詰まりを解消する取り組みにおいて極めて重要でした。複数の小さな爆薬で詰まりを揺さぶるのではなく、単一の大きな塊に系統的に穴を開け、結合爆薬を装填するべきだったのです。このアプローチを採用していれば、塊を小さな破片に砕き、昇降路をクリアすることができたでしょう。

ELIOS 3が、詰まりの原因の特定に与えたメリットは、次のとおりです。

鉱業におけるドローンの影響

鉱石シュートの詰まりを発見したELIOS 3の成功を受けて、鉱山では今後、このドローンを使用して詰まりの調査を行う予定です。

また、鉱山内の他のアクセス困難なエリアでも、映像による遠隔からの状況確認や3Dマップの作成にELIOS 3を使用することが検討されています。

現時点で、ELIOS 3が、作業に必要な正確なデータを提供することで、ダウンタイムと作業時間を大幅に削減し、同時に安全性とデータ収集の精度を高めることができる、いくつかの使用例が確認されています。

導入が進むにつれ、鉱山におけるELIOS 3のさらに多くの活用例が作業員たちによって発見されると期待されています。

■出典:Flyability社,
「3D Maps From Elios 3 Help Mining Operation Find Cause Of Ore Pass Hangup In 10 Minutes」
https://www.flyability.com/casestudies/mining-hangup-elios-3

ELIOSに関するお問合せ・ご相談

ブルーイノベーション株式会社
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