未来の空をデザインする ― 飛行管理システム特許が切り拓く新たな成長機会
2025/9/16
取締役 副社長執行役員 熊田 雅之

■独自特許が描く新しいドローン社会
ブルーイノベーションは、2016年に出願し権利化された「飛行管理システム(特許第6602877号)」を保有しています。複数のドローンを統括し、まるで一つのチームのように協調的な運用を可能にする本特許は、ドローンが社会インフラとして定着する未来を支える基盤的な知的財産です。私たちが掲げる「ロボット・システムのプラットフォーマーとして自律分散型社会のインフラを支える」というビジョンにおいて、この技術は中核的な位置づけを担っています。
■市場拡大と既存モデルの限界
世界のドローン市場は物流、農業、防災、警備などの分野で急成長を遂げています。その一方で、「1台に1人の操縦者」を前提とする従来の運用モデルには、拡張性や安全性の観点から明確な限界が存在します。大規模災害現場で数百台のドローンが同時に情報収集を行う状況や、農場で数十台が一斉に散布作業を行う場面では、人間の手による個別操作では効率や安全を確保することは困難です。こうした課題に対して、私たちの飛行管理システムは新たな解決策を提示します。
■技術の革新性と競争優位性
飛行管理システムの応用範囲は極めて広く、社会実装の可能性は大きく広がっています。インフラ点検の分野では、高所や広域を複数機で同時に点検することで効率が飛躍的に高まります。物流の現場では倉庫や配送拠点における無人化を実現し、防災分野では避難広報や被災地の状況把握を効率的に分担することができます。さらに警備の領域では、大規模エリアを複数機が連携して巡回する新たな監視体制を築くことが可能です。いずれも人手不足や安全性の課題を解決し、社会に直接的な価値をもたらすものです。
■知財戦略がもたらす事業成長
この特許は単なる技術保護を超えて、当社の知財戦略における重要なアセットとなっています。競合に対する参入障壁を築き、模倣を防ぐと同時に、業界標準形成においてリーダーシップを発揮する基盤を提供します。さらに、海外市場での展開や異業種との協業においても、交渉力の源泉となり得るものです。知財を成長戦略と直結させることで、持続的な企業価値の向上につなげていきます。
■最後に ― 技術で未来を共創する
ブルーイノベーションが目指すのは、誰もが利用でき、誰もが恩恵を受けるドローン社会の実現です。飛行管理システム特許は、その未来を形づくる上で欠かせない知的財産であり、当社の成長戦略に直結する技術です。私たちは今後も革新的な研究開発と知財戦略を推進し、投資家、パートナー、そして社会全体に持続的な価値を提供してまいります。

プロフィール
2011年4月に富士ソフト株式会社を経てブルーイノベーションに入社。2022年6月より現職。複数のドローン・ロボットを制御・管理する「Blue Earth Platform(BEP)」をはじめ、開発全般の指揮をとる傍ら、航空関連規格の国際標準化に向け、ISO(国際標準化機構)においてSC16(無人航空機システム)エキスパート、SC17(空港インフラ)エキスパートおよびvertiport(垂直離着陸用飛行場)のプロジェクトリーダーを務める。東京理科大学理工学部物理学科卒業。