ドローンのレベル4解禁で求められる「自動化技術」とは?

2023/10/25

取締役 熊田 雅之

2022年12月に施行された改正航空法により、ドローンの「レベル4」飛行の基盤が整い、ドローンの「目視外」および「全自動運用」に対する期待が高まっています。

ドローンは、現在、空撮から始まり、農業、測量、一部の点検などの分野で活用されていますが、「目視外」および「全自動運用」が可能になることで、物資輸送や点検・巡視などの分野でさらなる活用が期待されています。

空撮、農業、測量など、運用者が「目視内」で「手動飛行」させることが主要なサービスの場合、ドローンの「離着陸」は運用上あまり意識されない一方で、人口減少、働き手不足という社会課題が顕著になってきており、「目視外」・「全自動」でのドローンサービスが求められる「物資輸送」や「点検」、「巡視業務」などでは、ドローンの「離着陸」をしっかりと意識したサービス設計が必要となってきます。

ドローンが「目視外」・「全自動」で運用される際は、飛行時のみではなく、運用者がいない場所で、安全に自動で「離着陸」する必要があり、また機体や荷物の「格納」、機体の「充電」や周囲の「安全確認」が非常に重要になってきます。

ブルーイノベーションは、こうした背景から自社開発のドローンが離発着する「ドローンポートシステム」を開発し、「BEPポート」として提供しています。

「BEPポート」は、当社が開発した「ドローンポート情報管理システム」を中心に、様々なドローンポート(ドローンの離発着場)メーカーや周辺装置(環境センサや監視カメラなど)メーカーと連携し、インテグレーションして提供しています。

「BEPポート」の導入設置により、ドローンへの「充電」や離発着の「監視」を行い、「目視外」・「全自動」のサービスの「安全性」を向上させることができます。

 

ブルーイノベーションの「ドローンポート情報管理システム」とは?

国際標準規格「ISO5491」に準拠したドローンポート情報管理システム(VIS)

ブルーイノベーションが自社開発をする「ドローンポート情報管理システム※1」は、外部システム(ドローンの地上局(GCS:Ground Control System※2)や、運行管理システム(UTMs:UAS Traffic Management System※3)など)とAPI(Application Program Interface)を使い連携する事ができ、さらに国際標準規格「ISO5491」に準拠する世界初のドローンポート情報管理システム(VIS:Vertiport Information System※4)です。

※1 https://www.blue-i.co.jp/solution/logistics/port_01.html
※2 GCS(Ground Control System):ドローンを人間が制御するための設備を提供する陸上あるいは海上のコントロールセンター。
※3 UTMs:UAS Traffic Management System:ドローンの運航者が複数いる空域でも、目視外環境下での安全かつ効率的な運航を実現するための管理システム。
※4 https://www.blue-i.co.jp/news/release/20230626_1.html

接続するドローンポートや周辺センサーのハードウェアは、使用するドローンや顧客ニーズに合わせて選択することができ、主な機能には以下の通りです。

■「ドローンポート遠隔監視機能」
 複数ドローンポートの稼働状況を、リアルタイムに遠隔監視

■「周辺機器遠隔監視機能」
 気象センサー、侵入検知センサー等の周辺機器の稼働状況をリアルタイムに遠隔監視

■「ドローンポート遠隔制御機能」
 ドローンポートの開閉制御および他システムとの連携による自動開閉制御

■「離発着判断支援機能」
 ドローンポートおよび周辺機器の情報からドローンの離発着判断を支援

■「外部システムとの情報伝送・取得機能」
 UTM、GCS等の外部システムと連携し、必要な情報の伝送・情報を取得

■「ドローンポート運用者用の管理画面」
 ドローンポート運用者が、安全・適切にドローンポート運用を行うための管理画面
  •各ドローンポート予約状況、稼働状況、飛行計画の確認
  •周辺機器の稼働状況、周辺機器による測定結果の確認、判断情報提供
  •離発着場所周辺の安全確認
  •離発着状況の確認
  •遠隔ドローンポート操作
  •緊急時の遠隔ドローンポート制御

■各種API整備

これからのドローンの「目視外」・「全自動運用」において、ドローンの「離着陸」は極めて重要です。

ブルーイノベーションの「ドローンポート情報管理システム」は、この重要な側面に焦点を当て、「安全性」と「効率性」を向上させるために設計・開発されました。

「BEPポート」は、どのような規模のプロジェクトにも対応できる柔軟性を持っています。さまざまなパートナー企業と共に、「BEPポート」を活用することで、より安全安心で効率的な「目視外」・「全自動」でのドローン運用の早期な社会実装を実現できると信じています。

取締役 熊田 雅之

プロフィール

2011年4月に富士ソフト株式会社を経てブルーイノベーションに入社。2017年3月より現職。複数のドローン・ロボットを制御・管理する「Blue Earth Platform(BEP)」をはじめ、開発全般の指揮をとる傍ら、航空関連規格の国際標準化に向け、ISO(国際標準化機構)においてSC16(無人航空機システム)エキスパート、SC17(空港インフラ)エキスパートおよびvertiport(垂直離着陸用飛行場)のプロジェクトリーダーを務める。東京理科大学理工学部物理学科卒業。

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