津波防災の日に考える、海と生きる人の防災DX
~防災訓練から見えた“海を守る新しい形”~

2025/11/5

ドローンによる津波避難呼びかけの様子

11月5日は「津波防災の日」。

2011年の東日本大震災の教訓を次世代へつなぐ日として、全国で防災訓練や啓発活動が行われています。

そんな中、サーフィンのまち・千葉県一宮町では、ドローンを活用した新しい防災の形が広がっています。

海辺の安全を守るために導入された「津波避難広報ドローンシステム」は、津波の危険が迫った際に、自動で離陸して避難を呼びかけ状況を伝える“空の見守り役”です。

■サーファーの声がきっかけに

一宮町の釣ヶ崎海岸にはオリンピック開催を記念したモニュメントが設置されている

一宮町は、東京2020オリンピックのサーフィン会場としても知られる、国内屈指のサーフスポット。人口約1万2千人の小さなまちに、年間を通して数十万人のサーファーや観光客が訪れます。しかし、海辺では防災無線の音が波にかき消されることも多く、東日本大震災を経て、「いざという時、どう伝えるか」という課題が指摘されてきました。

こうした現場の声をきっかけに、一宮町とブルーイノベーションが連携。災害時に職員が現場へ行かずとも、ドローンが空から避難を呼びかけられる仕組みを整えました。ブルーイノベーションの「BEPポート|防災システム」を基盤とした本システムが町内に設置されたのは、2025年4月のことです。

■実災害で稼働、防災訓練にも活用

一宮町の防災訓練でもドローンが稼働(2025年9月28日)

このシステムは、全国瞬時警報システム(Jアラート)と連動し、津波注意報や津波警報が発令されると自動でドローンが離陸。避難を呼びかける音声を放送しながら、搭載カメラで海岸の様子を確認します。

2025年7月、カムチャツカ半島沖で発生した地震による津波警報下でも自動稼働し、職員が現地に向かうことなく避難呼びかけと海岸状況の確認を行いました。

そして9月28日には、一宮町の防災訓練でもこのドローンが稼働。避難呼びかけを行うドローンの姿は、「防災のDX化」を象徴する光景となりました。

■東日本大震災の教訓から生まれた技術

このシステムは、宮城県仙台市が東日本大震災の教訓を踏まえて始めたプロジェクトがきっかけです。震災の際、津波の避難誘導を担当していた市の職員の方々が津波の被害に遭うという痛ましい出来事を受け、「人が危険な場所に行かなくても避難を呼びかけられる手段をつくりたい」という想いから、既存の防災無線を補完する方法として、津波避難広報ドローンの開発が始まりました。

ブルーイノベーションは、そのプロジェクトに技術協力として2019年から参画し、ドローンが自動で離陸・放送・帰還する防災システムとして社会実装を推進しています。

■海を楽しむ人も、守る人も安全に

今回の一宮町での取り組みは、「海で楽しむ人」と「まちを守る人」双方の安全を両立する防災DXの一歩です。ドローンが自動で避難呼びかけを行うことで、職員が現地に出向く必要がなくなり、二次災害のリスクを減らすことができます。

地域のサーファーたちからは、
「沖にいると防災無線は聞こえづらいので、上空からドローンが呼び掛けてくれるのはとても良い」
「この取り組みが広がれば、いざというときに多くの命が救えると思う」
といった声が寄せられています。

千葉県一宮町 馬淵 昌也 町長

一宮町長は次のように話します。
「日本は外海に面している地域が多く、いざという時、一宮町で住民やビジターの皆さまを救うことができれば、全国に広がっていく。最先端の技術で日本中の命を守っていただくことを期待しています。」

町長やサーファーの言葉が示す通り、一宮町での取り組みは地域にとどまらず、全国の沿岸地域の防災を変える新しい可能性を示しています。

■津波防災の日に考える、未来の防災

災害の多い日本で、ドローンが命を守るパートナーとして活躍する未来を目指して。
津波防災の日に、改めて「備える」ことの大切さ、そして“人を危険にさらさない防災”の形を考えるきっかけになれば幸いです。

関連情報

・BEPポート|防災システム
https://www.blue-i.co.jp/bepport_bousai/

・津波警報下での実稼働事例(2025年7月)
https://www.blue-i.co.jp/cases/ichinomiya/

 

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