重要インフラ施設であるダムの点検を2週間→1日に。
設備のダウンタイムを最小限に抑え、現場の安全性と効率性を両立

2025/8/28

株式会社IHIインフラ建設 様

橋梁やダムの水門設備の新設・補修・保守点検を手がけるIHIインフラ建設では、ダム用ゲートで発生している漏水箇所の特定が急務となっていました。

しかしそのゲートは、人が立ち入ることは困難な場所に設置されています。通常であれば足場を設置して点検する必要があり、作業には約2週間を要する状況でした。そこで、同社は、屋内点検用ドローン「ELIOS 3」を活用。わずか1日で漏水箇所の特定を完了させることに成功し、施設管理者からも高く評価されました。

ダム用ゲートの点検の難しさ

ダムには、治水・利水・発電・環境保全といった目的で稼働しており、いずれも私たちの暮らしに欠かせない重要な社会インフラです。その中でも、水流を調整する水門(ゲート)は、ダム機能の中核を担う設備です。
今回、漏水が確認されたのは、ダム側の水門から下流に伸びる約25mの放流管。傾斜が急で暗く、点検通路からも目視は不可能でした。通常であれば足場を設置して点検を行いますが、その設置・撤去には高額な費用に加え、約2週間の期間が必要であり、その間は、設備の使用も停止する必要があります。 

こうした課題を背景に、「短期間かつ安全に漏水箇所を確認できないか」と検討を進める中で、ドローンを活用した点検手法に着目しました。

暗所対応・安全機能が、導入の決め手に

ドローン点検を検討する際に重視したのは、以下の2点です。

「暗闇の中でも漏水箇所をしっかり確認できる照明性能と、ドローンが戻ってこなくなる事態を回避できる安全設計が必要でした。
ELIOS 3※1のデモを見た際、GPSの届かない屋内でも安定飛行ができること、そして非常に明るいLEDライトで暗所でも鮮明な映像が取得できる点に安心感を持ちました。また、電波が途切れた場合に自動で戻るReturn to Signal機能※2の存在も、現場での使用に耐えうると感じた理由のひとつです。さらに、ELIOS 3に搭載されたLiDARが取得する点群データから作成される3Dマップで、点検箇所の位置を把握できる点も有効でした。」

(株式会社IHIインフラ建設 防災・水門事業部 工事1部 部長 澤田 淨 氏)

想像以上の映像品質と点検成果

実際の点検では、漏水の影響で気流もある中、LiDARやビジョンセンサーによって安定した飛行が実現。ELIOS 3 の1.6万ルーメンのLEDライトは、暗所でも鮮明な映像を確認でき、漏水箇所に十分に接近して状況を詳細に把握することができました。今回はブルーイノベーションのパイロットが機体運用を担当し、リアルタイムで伝送される映像をもとに調査ポイントを指示する連携体制により、安全かつ確実な点検が可能となりました。

また、当初の目的である漏水箇所の確認に加え、通常は目視できない放流管内の壁面状態までも同時に把握することができたことは、大きな成果でした。これらは全て、足場なしでは確認不可能だった複数の箇所を、短期間で安全に調査出来たことで、施設管理者からも非常に高い評価をいただきました。

今後への期待

「想像以上に鮮明な映像であり、安全かつ短時間で漏水箇所を特定することができました。同時に放流管内の劣化状況も確認したことで、不可視部分の現状を把握することができました。今後、足場を組む必要がある難しいところで活用していければと思います。」

(澤田 氏)

担当者(左:廣川 康之氏、右:澤田 淨氏)

<参考>ダム用水門設備について
https://www.ihi.co.jp/iik/products/steel_construction/dam/ (株式会社IHIインフラ建設 HP内)

COMPANY PROFILE

株式会社IHIインフラ建設

本社所在地   東京都江東区豊洲3-1-1
設立年  1987年
従業員数  約640名
URL   https://www.ihi.co.jp/iik/
事業内容  1.橋梁事業
 ・鋼製橋梁の新設、保全
 ・PC橋梁の新設、保全、点検 ほか

2.防災・水門事業
 ・水門設備の新設、補修、保守点検
 ・水管理システム・放流警報設備の新設、保守点検
 ・制振装置の新設、保守点検 ほか

(2025年7月現在)

 

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※1 屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」
ELIOS 3は、 Flyability社が開発した非GNSS環境下の屋内空間などの飛行特性に優れた屋内用ドローンELIOSシリーズの最新機種です。世界初の3Dマッピング用LiDARセンサーを搭載。点検・施設情報をリアルタイムで3Dデータ化し、位置特定が可能です。また、最新のSLAM技術により操作性・安定性も大幅に向上し、操縦者の負担軽減と飛行時間の短縮を実現しています。ブルーイノベーションは2018年に日本おける独占販売契約を Flyability社と締結し、ELIOS シリーズを活用した点検ソリューションの提供を開始しました。2024年現在、我が国ではプラントや発電所、下水道などを中心に300ヶ所を超える現場での導入実績があります。(https://blue-i.co.jp/inspection/ )。

Smart RTH機能

※2 Return To Signal機能
ELIOS 3 には、飛行中に万が一電波がロストしても、自動で電波が届いていた地点まで飛行する安全機能が搭載されています。下水道の中の曲がり角、橋梁点検の障害物を回避する前後など、電波状態が急激に悪くなった場合、安全に機体を戻せるかどうかはパイロットにとって大きな心の負担でした。Return to Signal機能は、そうしたパイロットのストレスを軽減し、安全で安定した運用に貢献します。

 

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この事例に関するお問合せ・ご相談

ブルーイノベーション株式会社
TEL.03-6801-8781/FAX.03-6801-8782
【お問い合わせフォーム】
https://www.blue-i.co.jp/contact/project/

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