技術連携で実現した「360°実写VRマップ自動生成・更新システム」施設をバーチャル化し、遠隔での巡回点検を可能に

2022/8/1

地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター 様

ブルーイノベーションは、東京都の公設試験研究機関である都産技研と共同で、巡回撮影した屋内映像をバーチャル空間上に再現し、360°VRで点検できる「360°実写 VR マップ自動生成・更新システム」を開発しました。熟練を要する工場などでの巡回点検をスマート化し、DX推進をサポートします。

工場などの施設巡回点検は人による目視点検が主流

開発は、とある発電所からの「施設内の点検を自動化したい」というご相談からでした。一般的に発電所は非常に広く、計器や設備の巡視に多大な時間とコストがかかります。ブルーイノベーションが相談を受けたその発電所では、「巡回するプロセス」自体が発電所を安全に運営するための必須事項であることから、複数の巡視員が毎日数時間かけて施設内を巡回していました。
その点検方法は紙に書かれた表を使ったもので、点検結果やデータがデジタル化されておらず、機器の温度点検も人による触手で行われるなど、結果の分析やデータ利活用が難しい状態でした。そのため、点検技術の継承や人材育成とともに、巡視員により異なっていた点検品質をデジタル化により統一することが喫緊の課題となっていました。

ドローンの会社なのに、ドローンを選択しなかった理由

この課題に対し、ブルーイノベーションは自社が得意とし多くの実績を持つドローンを活用したソリューション開発の検討からスタートしました。しかし、施設内は非常に広い上に、設備も複雑に配置されているため、全てを点検するにはバッテリーに不安があること、また、万が一にでもドローンのプロペラが設備に触れてしまうと機器の破損や設備の故障、最悪の場合には人身事故にもつながりかねません。効率的かつ確実に、しかも安全に巡回を自動化するためにはどうするべきか?「お客様の課題を解決する」という原点に立ち戻り検討した結果、採用したのはドローンではなく、AGVでした。

マップ作成~巡回~撮影までをすべて自動化

これまでにも360°ビューワーや3Dモデリングを用いた点検ソリューションはありましたが、データの撮影やマップの生成を人手で実施する必要があるため、結果的に効率が悪くなり、更新頻度も低くなってしまうという課題がありました。
今回開発した「360°実写VRマップ自動生成・更新システム」は、施設内で複数のAGVが自動で巡回し、施設のVRマップを自動で作成し、そのVRマップ内に、該当設備の状態を撮影した画像データが自動的にアップロードされます。担当者が現場を回る従来型の巡回点検を代替でき、省人化や点検品質の向上につながります。また、人の巡回が不要になるだけでなく、AGVが走行するたびにマップが更新されるため最新状況の把握が可能で、遠隔から直感的に確認・共有できるほか、5G通信にも対応しているので、高速でのデータ通信が可能です。

動画

今後の展望

東京都立産業技術研究センター 開発本部 情報システム技術部 ロボット技術グループ 中村 佳雅 様

このシステムは都産技研との共同開発の中で改良され、すでに電力会社をはじめとした10社ほどの施設で実証実験を行っており、今後は事業化してお客様に納めていくフェーズとなります。
また、工場などの施設巡回点検だけでなく、倉庫の在庫状況の監視、小売店の陳列状況などさまざまな業界や施設での活用が可能です。
今後も本システムを活用した実証実験を重ね、あらゆる業界のDX推進に貢献していきます。

「このシステムは、都産技研で行っている中小企業の5G・IoT・ロボット普及促進事業の公募型共同研究として採択され共同開発しました。ブルーイノベーション様のBlue Earth Platformは、上位システムやロボット間との連携が可能な統合管理プラットフォームです。施設巡回点検のような、ユーザーニーズに合った細やかな業務にも適用できるため、様々なロボットサービスを社会実装する上で重要な技術であると考えています。今回の共同開発でローカル5Gに対応したことでさらなる飛躍につながると期待しております。」

(地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター 開発本部 情報システム技術部 ロボット技術グループ 中村 佳雅 様)

COMPANY PROFILE

地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター

本社所在地 東京都江東区青海2-4-10
設立年 1921年(大正10年)
従業員数 335名
URL
事業内容 東京都が設置する公設試験研究機関として、中小企業のものづくりに関する技術支援(依頼試験、研究開発、技術相談、人材育成など)を行う。

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