津波警報下で稼働した“避難広報ドローン”
一宮町防災担当者が語る効果と今後の期待
2025/9/1
千葉県一宮町様
2025年7月30日朝、カムチャツカ半島沖で発生した地震に伴い、気象庁から津波注意報・津波警報が発表されました。太平洋に面する千葉県一宮町でも緊張が走る中、同町に導入された「津波避難広報ドローンシステム」が自動で稼働。職員を危険にさらすことなく、海岸利用者への避難呼びかけと状況確認を実現しました。
本システムは、ブルーイノベーションの「BEPポート|防災システム」を基盤とし、全国瞬時警報システム(Jアラート)と連動。津波警報という“実際の災害現場”で初めて稼働した事例は、全国の自治体が直面する「人員不足と災害対応の両立」という課題解決に直結する画期的な出来事となりました。
今回、一宮町役場の防災担当者である河内様、鶴岡様に、実際の稼働時の様子や感じた効果、今後への期待について伺いました。


津波警報発令、その瞬間

2025年7月30日午前8時25分に津波注意報が発令され、防災無線が鳴り響きました。
「これはドローンが飛ぶぞ」
職員が屋上へ駆け上がると、ポートのカバーが開き、ドローンがちょうど飛び立つ瞬間を目にしたといいます。
ドローンが自動で飛び立つ姿を初めて目の当たりにしたとき、防災担当者は「ホッとした、嬉しかった」と率直に語ります。現場に職員を派遣せずとも、状況確認や避難広報ができることの安心感は大きかったといいます。

その後、午前9時40分に津波警報が発令され、2度目の自動飛行を開始。さらに、海岸利用者が完全に避難したかどうかを確認するため、手動での飛行も実施しました。結果として合計4回の飛行を実施し、役場にいながらにしてドローン搭載カメラで海岸の様子をリアルタイムに確認できたことは大きな収穫となりました。
「人が近づけないエリアをドローンで確認できたのは良かった」と振り返ります。
実稼働による効果と次なる防災DXへの知見
今回の稼働で特に効果を実感したのは「搭載カメラによる状況確認」でした。
さらに、本稼働を通じてシステムの有効性に加え、より効果的に活用していくための新たな知見も得られました。
現場での稼働を通じて得られた知見は、次なる防災DXの進化を支える貴重なノウハウとなり、同町の防災体制の底上げにつながります。

今後の期待と展望
今回の稼働を通じて、一宮町では「避難広報だけでなく、状況確認にも使える」ことを強く認識できたといいます。
「ドローンが飛んだら避難する、というのが全国的に常識になる未来を期待しています。今は一宮町が珍しい取り組みをしている段階ですが、これが広く普及し、常識になれば多くの命を守れるはずです。」
(一宮町役場 総務課 課長補佐 兼 防災行政係長 河内 俊 氏)
まとめ

今回の一宮町での稼働事例は、防災DXが「机上の計画」ではなく「実際の災害現場」で機能した象徴的なケースとなりました。職員の安全を守りつつ、迅速に避難広報・状況確認を実現できる仕組みは、今後の災害対応の新しい標準となり得ます。
ブルーイノベーションは、今回得られたフィードバックを踏まえ、「BEPポート|防災システム」のさらなる機能開発を進め、導入自治体の拡大を目指します。こうした取り組みが全国へと広がれば、災害時の初動対応は大きく進化し、より多くの命を救う未来につながるでしょう。
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PROFILE
千葉県長生郡一宮町
役場所在地 | 千葉県長生郡一宮町一宮2457 |
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URL | https://www.town.ichinomiya.chiba.jp/ |
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